第壱章 ~Destined encounter~ / 第1話 ~冥王界~

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「あ……ッ!!」  足を踏み外してベッドから落ち、ベッドの傍らに置かれている棚に、思い切り頭を打つ。その拍子に、手にしていたコップを取り落としてしまった。 「い……ッた……!」  かなり強打したみたいで、立ち上がることさえままならない。  あたしは顔を歪め、打った場所を押さえる。おもむろに手を離すと、手にはベッタリと血糊が付いていた。 「……ッ」  額から流れ出た血が、床に日の丸を描く。  助けを呼ぶことすらできないまま、あたしは意識を手放した――。  う……眩しい……!  寝かされているの……? 「目が覚めましたか」  ん……?  ボンヤリとしていた視界が、だんだんハッキリとしてくる。
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