22人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章 再会 回想ー書類舞う会議室で……
数秒もしない内にドアが開き、次長が苛立ちを露わにした表情で
「やっと来たか……早く入りなさいっ!!」
と、声を潜めて言った。
その様子からわたしは
『間に合わなかった』と、悟った……。
『これでも急いだんですよー!!』
って、声を大にして言いたかったけれど……この場で言ってはいけないことぐらいは分かっているから、ぐっと言葉を飲み込んだ……。
だって……それは完全に言い訳だもの……。
「失礼します」
緊張した面持ちで挨拶をしてから、わたしは会議室へと入って、不用意な物音を立てないように気をつけながらそーっとドアを閉めた。
チラッ……。
どんな人物なんだろう……と、気になって、長テーブルを挟んで部屋の奥の椅子に座っている先方の方に視線を向けるも……先方の方の背後には大きな窓があって、太陽の光が差し込んで|肩幅が広くてスーツにネクタイということからを男性と、いうことは分かったけれど……どんな顔立ちなのか、表情を確認することはできなかった……。
うーん、残念……。
気になる〜。
男女問わず初めて会う人がどんな人物なのか……興味を抱くのはごく当たり前のことで、分からないとますます気になるのはわたしだけじゃないはず……。
じっーっと、目を凝らして先方の男性がどんな人物なのか……確認しようとして……って、いけない、いけない!
気になるけど、それよりもまず、間に合わなかったことに対する謝罪をしなくっちゃ……と、思考を切り替えた。
最初のコメントを投稿しよう!