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『種』明かし
「『気』? 神様何言ってるの?」
「『全能』をつけよ、全能を……」
「んなことどうでもいいよ。
『気』って何のことだよ?
この双葉が『気の種』だと?」
僕は矢継ぎ早に全能の神様に
話かけた。
「まぁ、まぁ、落ち着け。
今から『種』明かしをするからのぉ……」
と言うと全能の神様は、片手に持った長い杖を
えええええええ……ゴホっ、い……と振った。
すると、僕は雲の中に包まれた。
濃い霧のようなものに包まれた僕が
隣に立つ全能の神様の顔を見ると、
どや顔をした全能の神様が一言、
「ほれ、目の前を見てみ……」と言った。
僕が、前を向くと濃い霧が晴れ、
そこには、病室で寝ている僕の姿が映っていた。
「これは……何?」
僕が尋ねると、全能の神様が、
「これは、数ヶ月前のおまえさんの姿じゃの。
おまえさんは、念願の全国大会の直前に事故に遭い
両足に重傷を負った。
順調に回復はしてきたものの、
全国大会に行けなかったことと、
両足の怪我で今までのようなプレーが
できないかもしれないと言われたことが
よほどショックだったんだのう。
おまえさんは学校を背負うくらいの
将来有望視されている選手だったんだから」
全能の神様はそう静かに呟いた。
「そうだよ……俺は、全能の神様が言ったとおり
両足の怪我で今までのようにいかないかも
しれないと知らされ、もうどうでもいいって
思ったよ」
「そうじゃったな……
やる気を失い、すべての人々を拒絶し、
病室のベットでずっと天井ばかり
見ておったからの。
目標も見失ってただただ歩いているだけ……
俗に言う、殻に閉じこもっていたからのぅ」
「だったら何だよ……」僕は声を荒げた。
すると、全能の神様がえええええい……と
再度長杖を振ると、場面が変わった。
「どうじゃ……これを見てどう思う?」
全能の神様が微笑んだ。
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