夢に現れたのは

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夢に現れたのは

 ある夜、僕は夢を見た。    普通に道端を歩いていると、 僕の目の前にモフモフの雲に乗り 片手に長い杖を持った 仙人のようなご老人がふぁ~っと降りて来た。  そのご老人が、僕に話かけてきた。  「これ、これ……おまえさん」  僕は夢の中だし、まぁいいか…… と思いつつ軽く返事をした。  「なんすか?」  すると、仙人のようなご老人が 僕に言った。  「なぁ、おまえさん、わしの姿を 見ても驚きとか感動とかないんかね?」  「驚きと感動……ってこれ俺の夢の中だし、 別にね……」僕がそう答えるとご老人は、  「あぁ~これだから最近の若いもんは……」  とブツブツと言いながら長く伸びた あごひげを触ると、  「コホン……わしは全能の神じゃ」  「全農?」  「そう『全農』…… いや、それは全国農業協同…… ち・が・う……読み方は同じじゃが、 『全能』何でもできるほうじゃよ」  「そうなんだ。で、全能の神様が僕に 何の用なの? これ僕の夢の中だよね?」  「そうじゃが、それがどうした」  「どうしたって……僕、道を急いでるんで」  僕が全能の神様に告げ彼の前から 立ち去ろうとすると、  「これ、そんなに急がなくても良かろう。  今からわしが……」   ピピピ……ピピッ……の音が聞こえると、   全能の神様は僕の前から消え、 同時に僕はパチッと目が覚めた。
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