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それから、僕は『種』から出た
可愛らしい双葉を『双葉ちゃん』と
名付けると、せっせと水や肥料をやり、
日光浴をさせ、時々訪ねてくる友人に
見せたりしていた。
双葉ちゃんは、双葉のまま成長し、
十センチほどになったある日、
僕が目を開けると、白く長いあこひげ
がファサ……っと僕の顔に触れた。
「なんだっ……」
驚いた僕が飛び起きると、
「わしじゃ……」
と、長杖を片手にモフモフ雲に
乗った全能の神様が立っていた。
「ちょっとぉ、ここ何処だと
思ってるの?」
僕が慌てて聞くと全能の神様は、
「何って、おまえさんの部屋じゃろ?」
と涼しげに答えた。
「そうだけど……」口ごもる僕に全能の神様は、
「おまえひとりか?」
と言うと窓際に置いてある双葉ちゃんの
もとに歩み寄った。
「ほぅ……頑張って成長しとるな」
全能の神様が呟いた。
僕は種を貰ってからずっと気になって
いた疑問をぶつけてみた。
「ねぇ、神様」
「全能をつけよ……
わしは、普通の神とは違う」
「ちぃっ、全能の神様」
「なんじゃ」
「この種……一体何の種なの?
僕は一体、何を育ててるの?」
すると、全能の神様は一言、
「『気』じゃ」と言った。
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