小さな手の感触

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 初めに感じたのは、自分の手に伝わる暖かいぬくもりだった。  わたしの手を誰かが握っている。  それは、とっても小さな手。  儚いくらいの小さな手の感触が、温かく伝わってくる。  横には、わたしの手を握った小さな影が寄り添うように立っている。  小さな女の子。  子どもは、ネコのイラストが大きく描かれたTシャツにズボン。  Tシャツの裾の名前を書く欄に何かが書かれている。  わたしは子どものシャツに手を伸ばすとその文字を指でなぞった。  マイ。   『マイ……。あなたの名前はマイって言うの?』
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