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「生まれてくる子は、罪を犯します」
「えぇっ?」
女性が白く細い指を組んで見つめてきた。
「生んだことを後悔するレベルの罪を犯します。
それでも、産みますか?」
「いえ、もう妊娠中期でして」
「なら、産んでから里親探しをして責任から逃れるとか」
「メチャクチャなこと言わないでください!脅迫として訴えますよ!」
お腹の重さが増した気がして目まいがしたけれど、立ち上がった。
これ以上は聞いてられない。
占い料の三千円札をテーブルに置いて、あたしは去ることにした。
「あなたは娘さんのせいで......」
占い師がテーブルから立ち上がり、何かしら言っていた。
その声を背にして、人とぶつかって転ばないよう気をつけながら
店内から出た。
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