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新学期は注目と噂の的
さかのぼること二年半前の四月。私は自宅から徒歩十分の中堅校・山の手学園高校に入学した。
中三の十二月に消化器系先天性疾患の手術を受け、栄養を吸収できるようになった私の身体は飛躍的な成長を始めていた。
高校の制服の上着はLサイズを購入した。Mサイズでは、胸のボタンが止められなかったからだ。
バストはFカップにまで成長してしまい、以前にも増して男子から注目されるように。
顔だけではなく胸もジロジロと好奇と好色の目で見られるので、気持ち悪くて居心地が悪くて、身の置きどころのない思いをしていた。
おかげで女子生徒たちからは反感を買い、ますます憎悪の目でにらまれた。
彼女たちは男子生徒たちからの注目を浴びたいのに、見向きもされないからだ。
男子生徒たちからの好奇と好色の視線と女子生徒たちからの憎悪の視線。もう、ノイローゼになりそうだった。
無口な私は入学後も個人的な話をすることもなかった。
そのためなのか、それとも私を嫌う者たちの仕業なのか、噂が一人歩きしていた。
「わがままそう」「気取ってる」「性格キツそう」「性格悪そう」「冷たそう」「意地悪そう」等々。
すべて事実無根だった。
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