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プロローグ
山の手学園高校の文化祭。ミスター山の手学園グランプリに続き、ミス山の手学園グランプリが発表される。体育館には放送部員によるアナウンスが流れた。
「ミス山の手学園グランプリは…………エントリー番号6番。音無芙蓉さん!」
会場から拍手と歓声が上がる。
ステージから客席を見ると、私の応援演説やピアノ伴奏をしてくれた陽子が泣き崩れている。
私は「ミス山の手学園グランプリ」と書かれた襷を掛けられ、ティアラを頭に載せられた。
そしてステージ中央へと誘導される。
ステージの真ん中に取り残された私は、陽子が心配で客席を見る。陽子はハンカチで目頭を押さえながら、私を見守ってくれている。
陽子に微笑んで手を振ると、陽子は太陽のような笑顔になり、ハンカチを持った手を熱心に振り返してくれた。ちょっと安心。
司会役の二年男子が小走りで寄ってきた。
「おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「では、観客のみなさんへのスピーチをお願いします」
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