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5分程が経過すると、続いて緑川クンが現れた。
「店の場所って、山崎駅の近くだよね?」
私が訊くと、愛美は「そう、もう歩いてすぐだから!」と、高まったテンションで答えた。
「店の名前、『オニごりちゃん』だったっけ?」
続いて、緑川クンが訊くと愛美は「あっ、うん。そう……」と、顔を真っ赤にさせて、乙女モード全開。
いや、ホント。
愛美のこの変貌ぶりには、ただただ感心するしかないわ。
前を歩く二人にバレないよう、私が肩をすくめたその時、荒々しい吐息が私の耳に聞こえてきた。
同時に、震えるスマートフォン。
もしかして、と思って私がスマートフォンの通知を確認すると、やっぱりというか羽田からのLINEだった。
──『組長、一緒に歩いてるの緑川ってガキじゃないッスか!
前に『七色会』と揉めたばっかりなのに、脇が甘すぎるッス!』
ため息を一つ吐いて、私が後ろを振り返ると、羽田が電信柱の後ろから血走った目で私達三人の後ろ姿を見つめていた。
「どうした?」
察した緑川クンが訊いてくるが、私は「あっ、何でもない!」と、作り笑いでごまかす。
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