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「ご注文の方は、お決まりでしょうか?」
10分程が立ち、1/3くらい行列が消化した頃、アルバイトと思われる若いお姉さんが笑顔で尋ねてきた。
「あっ、アタシ。卵黄とネギトロのオニギリ」
「俺は、豚キムチと卵黄」
愛美と緑川クンが注文を終えると、残った私は「牛すじとチーズのオニギリ」と答えた。
「凄い、ハイカロのオニギリ食べんだね、安倍まりあ」
店員が去った後、愛美が目を丸くすると、私は「肉とチーズは裏切らないって」と、力強く返した。
さらに10分が経過すると、ようやく店内に入る事が出来た。
席はカウンターと、テーブル席が2つ。
運良く、テーブル席へと案内されると、この店ならではのもてなしなのか、「せーの、いらっしゃいませ!」と、店員全員が笑顔で唱和した。
「活気のある店だな」
店内の壁一面に掲示された、幾多もの芸能人のサインをぐるりと見回しながら、緑川クンが率直な感想を洩らす。
「社員教育も行き届いている、って感じだしね。
店の雰囲気もいいし、多分店長さんがしっかりしてるんじゃないかな」
数人の店員の動きを見ながら答えた後、私はいつしか自分の思考が「組織のトップ」になっちゃっている事に気付く。
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