・ゴメンなさいね

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「安倍まりあ、何か女社長とかみたいだね。 普通、社員教育がどうとか、そういうの語る女子高生っていないよ」 「いや、まぁ確かに」 私は笑ってごまかすと『まっ、女社長じゃなくて、今の私は「組長」なんだけどね』と、胸中で呟いた。 その時、オニギリが私達の前に置かれた。 が、何か手違いがあったのか。 愛美と緑川クンのオニギリはともかく、「牛すじとチーズ」と注文をした私のオニギリが「カレーとツナマヨ」になっていたのだ。 「……安倍まりあ、カレーとか頼んでないんじゃないの?」 「……うん」 失望を含んだ頷きで応えると、私は周囲を見回し、店員を呼び止めようとする。 けど、さすがは人気店というべきか、店内を徘徊している店員はその誰もが(せわ)しなく動いており、私はなかなか声を掛けられるタイミングが見出せなかった。 「俺が代わりに声を掛けてやろうか?」 見かねた緑川クンが言った、その時だ。 「ちょっと待って。何でこのテーブルに『カレーとツナマヨ』があんの?」 束ねた髪を肩の前に垂らした、30歳前後のサイドテールのお姉さんが、大股の足を止めて言った。
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