14人が本棚に入れています
本棚に追加
「安倍まりあ、何か女社長とかみたいだね。
普通、社員教育がどうとか、そういうの語る女子高生っていないよ」
「いや、まぁ確かに」
私は笑ってごまかすと『まっ、女社長じゃなくて、今の私は「組長」なんだけどね』と、胸中で呟いた。
その時、オニギリが私達の前に置かれた。
が、何か手違いがあったのか。
愛美と緑川クンのオニギリはともかく、「牛すじとチーズ」と注文をした私のオニギリが「カレーとツナマヨ」になっていたのだ。
「……安倍まりあ、カレーとか頼んでないんじゃないの?」
「……うん」
失望を含んだ頷きで応えると、私は周囲を見回し、店員を呼び止めようとする。
けど、さすがは人気店というべきか、店内を徘徊している店員はその誰もが忙しなく動いており、私はなかなか声を掛けられるタイミングが見出せなかった。
「俺が代わりに声を掛けてやろうか?」
見かねた緑川クンが言った、その時だ。
「ちょっと待って。何でこのテーブルに『カレーとツナマヨ』があんの?」
束ねた髪を肩の前に垂らした、30歳前後のサイドテールのお姉さんが、大股の足を止めて言った。
最初のコメントを投稿しよう!