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「……っ、あ、んんっ」  街の宿場に移動してなだれ込む様に部屋に入ると、すぐに扉に押さえつけられて口付けを受ける。  男の手が私の腰を掴み脚の間に男の太腿を差し込まれ、上から齧り付くように受ける激しい口付けは元婚約者との甘いそれとは違う。 「……はあ、ねえ、今何考えてた? 元婚約者のこと?」 「そ、んなこと……、んっ」  男の手が私のお尻を掴みグイッと持ち上げるように捏ねた。脚の間にある男の太腿に脚の間を擦り付けるような動きに、敏感な部分を刺激されて身体に熱が溜まっていく。  口付けをしながら男は慣れた様子で私のコートとジャケットを脱がせると、ブラウスの釦をあっという間に外していった。 「ま、待って、お風呂は……」 「後で」  激しい口付けは無遠慮に私の口内を弄り荒らす。歯列や上顎を舐められ、ぶるりと身体を震わせると、引っ込んでいた舌を絡めとられじゅうっと吸い上げられる。  息が苦しくて溺れるようなその行為に、段々思考が麻痺していく。  男に腰を持ち上げられ首にしがみつくと、そのまま激しく口付けを交わしながら部屋の中央にあるベッドへと移動した。  乱暴に横たえられて見上げると、私に跨りながら派手なジャケットを脱ぎ捨てる男の背後には、立派な天蓋の模様が見えた。 (高級宿かしら)  男はそんな私を見下ろしながら自分も服を脱ぎ捨てシャツ一枚になる。クラバットをシュッと抜き取りシャツの釦を外すと、胸元から鍛え上げられた胸筋が見えた。  着やせしていたのか、派手さに目が行っていただけなのか、気がつかなかったが男は鍛え上げられた身体をしている。もしかして騎士だろうか。  私を見下ろすその顔は上気して、荒い呼吸を繰り返す。 (きれいな顔をしてるわ)  もっと男の顔をちゃんと見たいと手を伸ばし、その髪をかき上げようとすると手首を掴まれシーツに押さえつけられた。 「顔が見たいわ」 「なぜ?」 「きれいな顔だと思って」 「それはどうも」  男はふっと笑うと私に覆いかぶさり、また激しく口付けをした。  手首を押さえつけられたまま繰り返される口付けは、どこか無防備な自分をさらけ出しているようで心許ない。その首にしがみつきたくて男の手から逃れようと腕を動かすと、すぐに力が緩み私の手を解放した。そのまま首にしがみ付き自ら舌を差し出して口付けをしていると、男は私のスカートに手をかけあっという間に脱がせた。アンダースカートも一緒に脱ぐと、ベッドの外でパサリと床に落ちる音がする。  男は唇で耳朶を甘噛みし、ぬるりと舌を這わせた。びくりと身体が跳ねた私に気をよくしたのか、さらに舌を耳孔へ差し込みぐちゅぐちゅと音を立てて嬲る。 「あっ、あ、まってそれ……っ」 「気持ちいい?」  耳元で響く水音と男の低い声にぞくぞくと背中が痺れた。  背中を逸らすと男の掌が腰を撫で、そのまま下着に掌を差し込んで肌を直接撫でまわす。お尻を捏ねるように大きく揉みしだきながら、男の顔が耳から首筋へと降り、ねっとりと舌を這わせる。鎖骨を舐めきつく吸い上げて、柔肉へと唇を這わせた。 「甘い香りがする」  胸元で話されると吐息がかかりくすぐったい。身を捩るとふっと男が笑った気配がした。 「貴女は敏感だね。それに、どこもかしこも柔らかくて甘い」    私の胸を下から掬うように両手で持ち上げ捏ねるように揉みしだく。弄ぶように指を埋め、柔らかさを確かめるように動かしながら唇を谷間に這わせ舌を伸ばし舐め上げた。指先が頂を掠め、待っていた刺激に思わず高い声が上がる。 「はあっ、あ、んんっ」  くるくると円を描くように頂の周囲を指でなぞり、けれど肝心の刺激がないことに、焦らされ熱だけが高まった体を持て余し、辛い。男が跨っている下で脚をもぞりと動かすと、男がふっと笑って私に口付けをした。 「ここ?」 「ああっ!」  突然きゅっと頂を摘ままれ大きく身体が跳ねる。  男は頂を摘まみ捻り指先で弾きながら、もう片方の頂を舌で弾いた。信じられないほど高い自分の声に思わず片手で口を覆うと、その手を取られ抑えつけられる。 「声は我慢したら駄目だよ」  胸元で顔を上げ私を見る男の視線に囚われ、視線を外せない。  男は私を見つめながら、ぐっと長い舌を伸ばし頂を舌先で舐めた。周囲を舌先で舐め、頂を何度も弾いてまたべろりと舐める。それを見せつけられ高まった私の熱が身体の中心に集まってきた。  男は頂を口内に含むと、唇で扱き引っ張った。じゅうっと激しく吸い上げられて、その水音に耳まで犯されていくような気がする。自分の声が遠くに聞こえて、快感に頭がぼんやりして視界がかすみ、目を瞑っているのかも分からない。  白く霞んだ視界はそのまま真っ白に弾け、ピンと伸びた脚がシーツを蹴った。
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