<3・悔い改めの儀式。>

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<3・悔い改めの儀式。>

 まずは、状況を確認すること。そのための情報を集めることが必要不可欠、ということで美紅と月の意見は合致していた。  つまり、この建物の中を探索すること、である。  集める情報は二つ。  美紅のパーソナルデータに関する情報を集めること。この施設内にあるという資料を回収して、記憶を取り戻すこと。  それと同時に、脱出方法の確認である。こんな得体のしれないゲームの主催に従うのは癪だが、向こうは少なくとも自分達を誘拐してこんな場所を用意するほどの資金力と組織力があるのだ。神様というのが本当だとまでは思っていないが、大規模なカルト教団レベルの力は持っていると推察できる。ここは大人しく従っておいて、あとで警察か何かに調査を任せた方がいいはずだ。  この建物から、ルールを無視して逃げ出す方法があるのかどうか?  あるいは悔い改めの儀式、とやらはどのようなものなのか。  もしこの儀式の内容が簡単なものならば、さっさと儀式を行って脱出してしまった方がいいかもしれない。他の参加者を皆殺しにするよりはよほど真っ当なクリア方法であるはずである。もちろん美紅の場合は、罪とやらをまったく覚えていないので記憶を取り戻すところから始めなければいけないが。 「……なんていうか、雑、ですよね」 「そ、そうだね……」  儀式場、を探すのはあまりにも簡単だった。  というのも階段の途中にも通路にも、『悔い改めの儀式場はこっち!』と汚い文字で書かれた看板が矢印と一緒に設置されていたからである。確かに、クリアさせたいのならその場所に迷子になってたどり着けませんでした、では話にならないだろう。  5Fと書かれた場所まで階段を上ったところで、その扉が見つかった。やや息を切らしながら美紅たちはその前に立つ。月が取っ手に手をかけて引っ張ると、扉はあっけなく開いたのだった。 「ここは……」  その場所を端的に説明するなら、〝結婚式の披露宴会場〟が一番近いだろう。  艶やかな花柄模様をあしらった絨毯に、お洒落なレストランにありそうな丸テーブルと机が並んでいる。天井からはシャンデリアが下がっていて、大広間に眩しいばかりの光を提供していた。  披露宴会場、もしくは高級レストラン。  そんな印象の広い広い部屋にも、やはり窓らしきものはない。そして、美紅が思い浮かべるそれらの場所とは明確な違いがいくつかある。  それは、真ん中にだけ、テーブルよりも大きな白い台座が設置されていること。その台座に、赤いボタンが設置されていること。その台座の前に、大きなモニターのようなものがあることだった。  部屋には他にも数人の先客がいたようだ。そのうちの一人――ゴスロリみたいな黒いドレスを着た女の子が、どうやら今まさにボタンを押そうとしていたらしい。扉が開く音を見て、あら?と言いながら振り返る。 「あれ、ひょっとしてまだ人来るかんじ?もうちょっと待ってた方がいいかなあ?」
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