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天使の任務とはそれぞれが担当する人間の心に配属されて、「善」となる行動を行わせることだ。また、その逆「悪」を担当する者もいる。ただしそれは天使ではなく悪魔の役目だ。
お互い相反する任務を持つが目的は同じく、人間を長く生かすことである。そのためにはお互いの協力が不可欠であり、長い時間を共にするペア組むことになる。
ミゲルのペアは少々軽薄な印象をうけるものの、頭の切れる優秀なベテランの悪魔だった。ミゲルにとって苦手なタイプではあったが、助けてもらうことも多く信頼できる相手だ。
「悪いな来てもらって。」
悪魔サイアンはまだ衰えを感じさせない笑顔でミゲルを出迎えた。
「いいんですよ、任務でもないと地獄に来ることないですから。気晴らしに丁度いいです。」
「気晴らしなんてまたどうしたんだよ。大天使のハゲに怒鳴られでもしたのか?任務まで時間あるしコーヒーでも飲みながらハゲの愚痴大会でもするかい。」
そう話すサイアンの手にはすでに挽き始めたコーヒー豆があった。物好きな彼はしばしば人間界の生活を真似る。彼のこのようなところが、ミゲルは好きだった。
時間を確認すると確かに人間が目を覚ますまでしばらく時間がある。わざわざ快速に乗らなくてもよかったかな、と思いつつ彼がコーヒーを淹れてくれるのを待つことにした。
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