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「さてさて、いったいどうしたんだ?あのハゲの説教がそんなにきつかったのか。」
「今回は大天使に叱られて落ち込んでるわけではありませんよ。ただ…。…サイアンさんは今の任務にやりがいとか感じてます?」
「なんだ、ハゲのことじゃないのか。やりがいねぇ…。そんなもんはないかな。ただやらないといけないからやるだけだ。そこに特別なもの見出したりはしないねぇ。」
「それって虚しくありませんか。」
「そりゃあ人間みたいに見栄えのする毎日じゃあないが…。でもその分、苦しむことも悩むこともない。それで十分じゃないのかい?」
「確かに人間のように簡単に生死が脅かされることもありません。あれらが違う毎日に苦悩する様は愚かです。でも一方で任務だからと毎日ずっと同じことを繰り返し、新しくなにかを選ぶ権利もない。変わらず同じことを淡々と続けることが美徳とされる世の中。人間界のように大きな苦悩もない代わりに大きな喜びもない。僕は、そんな日常が最近ひどく息苦しいんです。」
余計な事を喋りすぎた、とサイアンの方に目をやるとじっとこちらを見つめている。視線に気がつくと大きなため息を吐いた。
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