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空からハラハラと光の粒が舞う。
私の視界いっぱいに広がる宝石たち。
その宝石を照らすかのように、一筋の光の道が空から降り注ぐ。今にも何かが舞い降りてきそうなその景色を私はただ眺めていた。
「天使のささやきか。」
この現象の美しさを例えて、そう呼ぶのだと、昔、あの人が教えてくれた。
「なんで、今更。」
零れた本音は、光の粒とともに、地面へ落ちる。
ほろりと、目から涙が零れた。
「なんで、今更。こんな綺麗なもの見なきゃいけないの。」
胸が苦しかった。今見えている景色はこんなにも美しいのに私の手はもう汚れてしまった。
戻ることは出来ない。
綺麗な光の粒が降り注ぐ中、私は、土を掘った。
ひたすら掘り続けて、そして、自分の過ちを埋めた。
その後、私は自ら、天使の元へ旅だった。
いや、私の向かった先はそんな、優しいものではなかったのかもしれない。
それでも、私が最後に見た景色は、たしかに、天使がくれた私への最後の贈り物だった。
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