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「どうしたの?」
私は駆け寄った。
「もしかして、迷子?」
私が聞くと、女の子はうなずいた。
「どこから来たの?」
尋ねてみても、女の子は泣いているだけだ。
女の子は私よりも小さい。
四年生の私よりも年下に見える。
一年生とか二年生くらいだろうか。
それにしても、こんな可愛い子が同じ学校にいたら顔くらい知っていそうなのに、見たことがない。
「家、どこかわかる?」
「わかんない」
女の子が首を振った。
女の子の声は、本物の天使みたいな声だった。
すごくかわいらしくて、ちょっぴり高くて、なんだか舌っ足らずだ。
「ね、私、一緒に家探してあげようか。歩いてればわかるかもしれないし」
「ありがとう!」
女の子がパッと顔を上げて笑った。
笑顔もやっぱり天使みたいだった。
私たちは手をつないで歩いた。
柔らかくて小さな手だ。
妹が出来たみたい。
天使の格好をした女の子は、周りをきょろきょろと見ていた。
しばらく歩いても、女の子は周りの景色に見覚えがないようだった。
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