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「ちょっと休憩しようか」
私は女の子と公園のベンチに座った。
「もしかして引っ越してきたばっかりとか? それか、おばあちゃんの家に遊びに来たとか?」
「ううん」
女の子は首を横に振るばかりだ。
このまま家が見つからなかったらどうしよう。
なんて、不安になっていたら、
「あ!」
女の子が空を見上げて声を上げた。
「わー」
私も女の子の視線の先を見て、声を上げた。
「あれ、天使のはしごって言うんだよね」
雲の間から、光のビームみたいに太陽の光が差し込んでいる。
ああいう光のことを天使のはしごと呼ぶのを、前にどこかで聞いた。
「おむかえ、きたみたい!」
「え?」
「いっしょにさがしてくれて、ありがとう」
女の子はそう言うと、天使のはしごが出ている方へ走っていく。
「どこ行くの!? 待って待って!」
私の声を振り切って、女の子は走って行く。
私とまではぐれたら、あの子はもっと本格的な迷子になってしまう。
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