天使たちのハロウィン

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天使たちのハロウィン

「おかあさーん! 羽つけてー! 羽ー!」  ハロウィンの日、私は背中に白い羽をつけてもらった。  近所の100均で買ってもらったやつだ。  ものすごい仮装は出来ないけれど、これだけでもいつもと違う自分の気分は味わえる。  ちょっぴり天使みたいだ。  あとは輪っかがあれば完璧だったんだけど。 「いってきまーす!」 「気を付けてね!」  せっかく仮装をしても、外に出なければ始まらない。  ちなみに友だちは誰も付き合ってはくれなかった。  仮装なんかして、外を歩くのは恥ずかしいんだって!  今日くらいはいいのに。 「あっ!」  外に出てうろうろしていたら、みつけてしまった。 「いいなー」  知らない女の子だったけど、思わず私はその子に向かって言ってしまった。  だって、あまりにも完璧だったから。  それに、仲間をみつけて嬉しかった。  ふわふわの白いワンピースに本物みたいな白い羽、それに頭の上には輪っかも付いている。  私なんか、いつもの小学校に行っているときと同じ服に、ただ羽をつけているだけだ。  一応、ちょっと可愛いスカートの服を選んではいるけれど全然違う。  それなのに、 「う、ひっく……」  女の子は泣いていた。
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