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僕の天使が眠った。
隣で、僕の右手を握ったまま、僕の右肩に頭を預けたまま。
もう目覚めることはない。
覗きこむと、とても穏やかな彼女の寝顔があった。
今ごろ君は天使になったかな?
「ねえ、天音ちゃん」
返事はない。これから先もずっと、もうあの声が返ってくることはない。
切って大きくなった目に、人工的な二重。
ツンと高い鼻先。
口角が少し上がっている閉められた口元。
外に出なくなって白くなった肌。
食べなかったり、食べても吐いたりして、痩せ細った手足。
お人形のような体を、フリルが付いた白いワンピースとまっすぐでサラサラの黒髪が引き立てる。
ねえ、天音ちゃん。
これで合ってるんだよね? よかったんだよね?
僕が天音ちゃんを愛していることを証明できたんだよね?
僕が天音ちゃんを、見殺しにすることで。
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