おひさまを育てよう

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 2月14日に想いを預けたビターチョコのマカロンは……事もあろうに泰子の胃袋に収まり、3月14日に、私の手元に何も無い事を確かめて彼女は笑った。  学校へ行くどころか生きて行くのさえ嫌になる位で……私は頭から布団を被って泣き明かした。  結局、球技大会の2日目までズル休みして次の月曜にようやく学校へは行けた。 「菜摘!風邪大変だったね! 谷口先生が『期末の答案預かってるから職員室へ来なさい』って!」  結菜ちゃんも谷口先生もこんな私に優しくて……心配かけてしまったのが申し訳なくって……しっかりしなきゃ!って思った。  ようやく家に帰って来てスクバを肩から下し、机の前に座った私は引出しから雑記帳を取り出し、目も合わせなかった拓海と泰子の名前を殴り書いて、その上へ『バカヤロウ!!!!!』と大書きした。  ああ!!今年は散々だ!!  正月明けに可愛がっていたハムスターの“じゃんがり太郎”が亡くなってから……なんだかんだと泣き通し……  もう春はすぐそこ!!桜の蕾だって膨らみ始めているのに……  ため息をついて項垂れると、片付けられないでいた“じゃんがり太郎”のお世話セットへ目が行った。  椅子から下りてカーペットに跪く。  あちこちに残されている“じゃんがり太郎”の悪戯の跡にまた涙が零れる……  けれど“じゃんがり太郎”が遺したのはそれだけでは無かった。  ヒマワリの種が袋に残っていた。  私は手を伸ばし、それを抱きかかえた。  ≁≁≁≁≁≁≁≁≁≁≁≁≁  燦燦と輝く太陽を想い、私はプランターに今日も水を撒く。  この可愛い双葉たちがおひさまになって……種がいっぱいできたなら……  新しい子をお迎えしよう!  そして私も“おひさま”に負けない笑顔になろう!!                          おしまい
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