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2.よくある異世界イベントやっちゃいました(2)
そう、平和だって言うのに、なんで俺が召喚されたんだ?って、話になる。
聖女とかも国にとっては慣例的な役割になりつつあるらしいのに、わざわざ異世界である俺の世界に、高度な召喚術を使ってまで聖女を呼び出したんだって話。
「そ、そのことについては……後程、陛下との謁見の際にご説明させて頂きます」
って、言って河童大臣はなんかはぐらかしているようだった。
んで、その謁見の為の準備を、今がんばってやっているらしい。
けど、その前に俺が本当に聖女(?) なのかってのと、ステータスを確認しておこうってなったんだって。
そりゃそうだ。
聖女として召喚したはずが、出てきちゃったのは俺みたいな女装レイヤーだったのだから。
でも、なんか文献?かなんかの言い伝え通りだったから、半信半疑だけど丁重におもてなししてくれているのだろうけど……
王様に謁見させなきゃいけないとしても、会わせた相手がヤバい奴だったら大変だ。ってことで、このイベンドが始まっちゃったわけですよ。
河童大臣のなが~いお話を聞いているうちに、鑑定の準備が整ったようだ。
「た、大変お待たせいたしました!」
そんなわけで、下っ端の人たちがなんか厳重な封印のされた羊皮紙だったり、なんかよくわからん真っ白で艶々の石板だったりをテーブルの上に並べていく。
「聖女様、それではこの水晶に魔力を注いでください」
宮廷魔導士さんに促されるまま水晶に手をかざしてみる。
魔力なんて全然わかんないけど、とりあえず言われるままにやればいいんだよな。
キラキラした粒子が舞っていた水晶に手をかざして少し待っていると、いきなりまばゆい光が薄暗かった室内を包み込んだ。
眩しすぎてつい目を細めてしまったけど、その眩しいのもすぐに落ち着き、元のキラキラとした粒子の舞う水晶玉に戻っていた。
うん。めっちゃ異世界に来ました~って感じの演出。
動画撮りたい。それかもう一回やってもらって撮影したい。
馬鹿なことを考えつつも、どこにステータスが書かれているのか気になってテーブルを見渡す。
さっきまで真っ白で艶々とした何も書かれていない石板だったのに、今はびっちりと石板の上に文字が認められている。
「聖女様、お疲れ様でした。これにて鑑定は終了です。我々は今からこの古代文字を解析いたしますので、結果は後ほどお伝えいたします」
なぜか今にも倒れそうなくらい疲れ切った様子の宮廷魔導士さんは、下っ端に支えて貰いながら退室していくのを見送る。
俺と河童大臣はというと、さっきの眩しさにまだ目がシパシパしてしまい、動けずソファーに座っていた。
テーブルの端っこでは、下っ端さんが大慌てで羊皮紙に石板の文字を映しているのを見てなんとなく納得する。
多分、宮廷魔法士の人は俺のステータスを石板に写すので魔力を使い切ったのかな?
そりゃ、鑑定するってのは色々大変な作業なのだと思う。
石板に書かれた文字は、この世界では古代文字ってチラッと言っていたし……
ただ一言だけ言わせて欲しい。
古代文字って言っていたけど、めっちゃ日本語じゃん!コレ、俺解析しなくても読めちゃいますけど?
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