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プロローグ1
街には色鮮やかな髪をした人たちであふれかえっていた。
色々あって、久々に開催された街ぐるみの大きなイベントの為、いつもよりもたくさんの人が参加しているんじゃないか?って、くらい賑わっていた。
誰もが、アニメや漫画のコスプレをして、思い思いの撮影や会話を楽しんでいる。
「あ、あれ先週出たばっかの新衣装じゃん!実装はやぁ~!?しかもクオリティめっちゃ高い!」
俺の隣でテンション高めに話しかけてくる彼女を見ると、目をキラキラさせながらレイヤーさんを指差していた。
「マキ、失礼だからやめなさい」
ビシッと彼女の手を手刀で叩き落とすと、文句ありげに俺に睨み付けるものの、すぐに勝気な笑みを浮かべている。
今日は俺も彼女も当然のようにコスプレ参加だ。
地毛を推しと同じにしたい!って理由だけで、地毛を金髪にしている。その髪をワックスやスプレーで、綺麗にオールバックにし、後ろはツンツンに立たせている。
ウィッグを使えばセットも手直しも楽なはずなのに、「王様はヅラじゃない!絶対に地毛でやる!」と、変なこだわりを持っているらしい……
普段会社でどうやって過ごしているのか本当に疑問だが、その気合だけは称賛に値する。
金ピカに輝く重厚な鎧が、秋晴れの空に良く映える。
ただ、残暑と言っていい程の陽の光をガッツリ反射してくれるから眩しくて仕方ない。
お前がレフ板かよ……と、ツッコミを入れたくなるものの、自分の衣装のことを考えるとあまり強くは言えない。
「まこ、今回の衣装、ちょっと変えた?なんかパフスリーブの形綺麗にできてるし、スカートのレース部分すっごい綺麗なんだけど」
彼女の真紅の瞳がキラキラと輝きながら、昨晩仕上がったばかりの衣装を褒め称えている。
「ふふ~ん、鎧の部分は前に作り直して満足できるのが出来たからな!今回はドレスの方を作り直してみた。やっと今日の3時に仕上がったんだが、我ながら見惚れるくらい良い出来だと思うんだよなぁ~」
紺青色のワンピースドレスの下に、白のレースがチラリと覗いている。
銀と鋼色の間のような、鈍い光沢のあるシルバーの鎧。
鎧と言っても、本物の鉄などではなく、ライオンボードを使った造形だが、結構自慢出来るくらい良い出来に仕上がっている。
「うんうん。これは本当にめちゃくちゃいいと思うよ。この格好のまこを今スグ可愛がりたくなる!」
彼女の爛々とした眼に寒気を感じるも、流石にこの街中で変なことはやらかさないだろうとタカを括り。
「そうだろう?可愛いだろう!騎士王の可愛らしさを全身で体現できてるって自負してる」
腰に手を当てて、フフンッ!と自慢気に話してみる。
そんな俺の様子を慣れたようにうんうん。と言いながら何故かスカートを捲って勝手に中を覗き見
「下着も白の可愛いレースに、お揃いのガーターベルトを合わせてるのはポイントが高い!」
スカートを頭に被りながら、サムズアップで満面の笑みを浮かべる彼女の頭を叩き、捲られたスカートを押さえる。
「バッ!?こんな所で変態行為をすんな!?」
下着を見られた恥ずかしさから、顔を真っ赤にして怒鳴りつけていると……
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