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もう高校2年生。
私の人生設計に時は不可欠。
大好きな人とずっと一緒にいたい。
そろそろ、
わからせてやらなきゃならない時が来てる。
ずっと言えなかった私の好きをわからせてやらないと、
ほんとの、
女子の怖さを知らない時は、
変な女の子にさらわれてしまうかも知れない。
そんなのやだ!
時が他の女の子と仲良くしてるの見るなんて。
胸がドキドキしてくる。
時が、私以外の女の子の名前を呼び捨てにしてるのを聞くのも胸がチリっとするし、
ときぃ〜なんて、
学校で一番可愛いとよばれてる、
あの女狐、彩子(さいこ)がクラスを越境して来るのなんて、
もう、
私の情緒、どうかなっちゃうから、
休み時間は時の椅子半分を占領して、
あっしの男に手を出すなオーラを出しまくってる。
時にはまるで伝わってないけど。
で、
時のいない人生を考えてみる。
そんな人生、私の人生じゃない。
なんで、時じゃなきゃいけないのか、
まだ16年と8ヶ月しか生きていないのに、
なんで割と生活の全部が時のことばかりなんだろう。
初めて叱られた時のこと、時は覚えていないだろうな。
中学1年の時に、
時が、
学級委員長だった時。
決め事があるクラス会議に遅れた私。
テキトーにやればいいじゃん?みたいな、気持ちでいたから、
30分遅刻して行った。
「おい、圭!
みんなに言うことはないのか?
みんな圭が来るまで待ってたんだぞ。」
他人に叱られたことなかった私。
その時、
いつもは優しいのに、
時の怒った顔。
本気の気持ちにバキュンとした。
初恋の爆発だった。
その時に、私の心は、
反発しないで、
時の気持ちがスッと心に入っていく。
あー、
私の唯一の、
男。
中学の時も高校も、
まわりの女の子たちが言うイケメンには、
全然、心もっていかれなかった。
だって、
超絶イケメン?
大好きな人が近くにいるのに、
そんなの全然、興味ない。
「圭?」
私を呼ぶ圭って声、好き。
「なに?」
超絶、可愛いと思われる顔を作る。
私はそんなにかわいくもないけど。
「彩子がさ…」
ん?
彩子?
呼び捨てるの?
が、どした?
「ダメ!」
聞くまでもなく、心が叫んだ。
「圭がダメって言うなら、ダメなんだろう。」
「彩子ちゃんが何?」
「うんとさ、
夏休み、
いつでもいいからギター教えて欲しいって。」
なんて言ったらいいの。
「圭が嫌なら、断るよ。」
「私がいいと言ったらどうするの?」
「おれ、あの子苦手。
圭みたいに思うこと話せない。
なんか、
そう思う。」
時は彩子ちゃんが苦手。
とてつもなく笑顔になる。
「夏休みはさ、
毎日、家に来てよ。
プールもあるし、
私にギター教えて。」
ギターにはまるで興味ないけど、
「圭、ギター教えたいけど、
おれ、バイトしようかと思ってるんだ。」
え?
時バイト?
ヤバいと心がアラーム。
これ、
絶対にヤバいやつだ。
バイト先に、
年上のお姉様。
1個下とか同級生の女の子…
頭の中に彩✕100人の女の子が時を取り囲んでるハーレムが…
妄想が…
私の顔、すんごい顔してると思うけど、
「とーちゃんのとこでバイトすれば?」
「圭、
その顔、
どんな感情?
すんごくヤバいから、
おれしか見せない方がいいよ。」
「で、
バイト先決まってるの?」
「これからなんだけどね。」
オケ!
「とーちゃんに聞いてみる。」
「ちょ! 待って。
いつもお世話になってるお父さん…
(私のとーちゃんをお父さんだって、なんか気分いい。)
これ以上、迷惑かけられないよ。」
聞かないふりしてラインしちゃう。
すぐに返信。
とーちゃん、仕事してないのか?
暇すぎるの?
「時がバイトしたいなら、
全力でうちの会社で歓迎するって。
バイト採用だって。」
「もお、
コネとかつかわないで、
おれを知らない人のとこでバイトしたかったのに。」
セミが鳴いてる。
近くで。
嫌いじゃない。
「私も一緒にバイトするけどね。」
「圭はバイトしなくても…
ほら、
いわゆるさ、
なんて言うか、
おれみたいにガンダムのプラモデル買うのに、
あー、どうしよう?
自販機ドリンクやめて、水飲むかみたいに思わないでしょ?」
なんか嫌だな。
時と壁があるみたいに思う。
私、バイトしたお金は時に課金するつもり。
でも、時はきっといらないと言うだろうけど。
「うっさい。
やると言ったら、私はやるの。」
「はいはい。お姫様、一緒にバイトがんばりますか。」
時は右耳から10センチの距離で笑った。
時の息の加減になんか変な気持ちやってくる。
家に帰ってとーちゃんに、
「とーちゃん、私も時と一緒にバイトしたい。」
って、言ったら、
「圭は、なんでも時なんだな。
そんなに好きか?
おれも好きだけど。
ちゃんと好きだって言ったのか?
時は、恋愛にはモーレツ、ニブそうだから、
わかるように伝えないと、
よくわらない女の子にさらわれるぞ。
それはおれも嫌だな。
もう、
早く息子にならないかな…
圭、
結婚より孫が先にでも…いいぞ。
無軌道な青春しても…
でも、時じゃ、そんなこともないだろうな。」
そう!
そこ、
猿みたいな高校生だと言われる底なしの性欲は…
時は何で解消してるの?
わたしじゃないと嫌だな。
わたしで解消して欲しい。
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