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作戦開始
もう腹が立つんだから。綺麗に着飾った女にどこぞの男がプロレス技を仕掛けるというのか。
「反撃よ。今夜覚えておきなさい……」
大城、あんたに逃げ場は無い。
その後、一次会を終え二次会を終え、ようやく人が疎になってきたところで上手く彼に声を掛けようとしたものの、全くもう、あの女が彼の側をチョロチョロする。
「ちょっと美雪ちゃんっ、そろそろ帰らないと旦那さんが心配しちゃうよぉ」
はい、これが心配する素振りで蹴落とす作戦です。彼女の得意技を早速習得させていただきました。
「わ、和香子ちゃんったら心配性なんだからぁ。私は大丈夫なのっ」
「あっそ。まだ飲めるんだ」
「うん、まだまだ大丈夫っ」
「あ、高橋ぃ、美雪ちゃんまだ飲めるらしいからそっちに混ぜてあげてぇ」
「マジ? 美雪ちゃん行こうぜっ」
「は? え⁉︎」
はい、邪魔者抹殺。
かつて美雪に熱を上げていた高橋という男に彼女を押し付ける事に成功した私は、早速例の作戦の準備に入った。
「私はこの後飲み直すけど、大城、あんたはどうする? あっ、ママが心配するから駄目かぁタクシー呼んであげようか」
医者一家に生まれた彼。過保護を通り越して過干渉過ぎる親の元で育てられてきた。いつでもどこでもママが口を出してくると、よく揶揄われていたものだ。彼は親の話を持ち出されるとすぐにカッとして冷静さを失う。私はそこを上手く利用する事にした。
「は? 馬鹿にしてんのかっ、行くに決まってるだろっ‼︎‼︎」
はいはい楽勝。彼は思った通り、私の仕掛けた大城ホイホイに簡単に引っ掛かった。
さぁ、いよいよ計画遂行だ。
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