1人が本棚に入れています
本棚に追加
胸が高鳴って、どこか緊張したまま涼介は光里と話した。こうして二人きりで話すのは初めてのことである。様々な話をしているうちに花火大会の話になり、こうして一緒に行くことが決まったのだ。
花火が打ち上げられるのは十九時半からだ。まだ時間はある。涼介が腕時計で時間を確認していると、光里に声をかけられた。
「ねぇ、せっかくだから何か食べようよ」
「はい。何か食べたいものとかありますか?」
「ん〜。たこ焼きもいいし、フルーツ飴もおいしそうだし、牛タンやトルネードポテトもおいしそうだよね!」
「あはは。迷いますよね」
涼介と光里は笑い合う。二人を側から見れば付き合っているカップルがデートをしていると見えるのかもしれない。それが涼介にとって苦しかった。
(先輩は俺のこと、男としてきっと見ていない。だからこんなデートみたいなこと、すごく苦しい)
しかしそれを光里に悟られるわけにはいかない。涼介は必死で笑う。恋の痛みなど気付かないフリをする。
最初のコメントを投稿しよう!