August〜隠したはずの気持ち〜

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胸が高鳴って、どこか緊張したまま涼介は光里と話した。こうして二人きりで話すのは初めてのことである。様々な話をしているうちに花火大会の話になり、こうして一緒に行くことが決まったのだ。 花火が打ち上げられるのは十九時半からだ。まだ時間はある。涼介が腕時計で時間を確認していると、光里に声をかけられた。 「ねぇ、せっかくだから何か食べようよ」 「はい。何か食べたいものとかありますか?」 「ん〜。たこ焼きもいいし、フルーツ飴もおいしそうだし、牛タンやトルネードポテトもおいしそうだよね!」 「あはは。迷いますよね」 涼介と光里は笑い合う。二人を側から見れば付き合っているカップルがデートをしていると見えるのかもしれない。それが涼介にとって苦しかった。 (先輩は俺のこと、男としてきっと見ていない。だからこんなデートみたいなこと、すごく苦しい) しかしそれを光里に悟られるわけにはいかない。涼介は必死で笑う。恋の痛みなど気付かないフリをする。
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