かやのとお戌様

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 かやのの声に興奮したおいぬ様は、膝に乗せたかやのの身体を揺らしながら、容赦なくそれを子宮の奥に打ち付けてくる。  そうしながらも、おいぬ様はかやのの唇をふさいだ。 「ん、くう…」  人とは少し違う薄い舌が、かやのの口腔内を存分に侵した。  これをされると、かやのはもうたまらない。おいぬ様と、もっともっと繋がりたいと思うようになる。  ふさふさとした尻尾に触れながら、かやのは自ら腰を動かし、おいぬ様のそれをもっともっと、自身の深くに沈めていった——  ◇◇◇  そもそも、かやのが斯様に扱われることとなったのは、彼女自身の所業(せい)であった。  ひのえうまの生まれで、村でも一番の転婆だった彼女は、2年前、あらゆる天災から村を守ってくださるという『お戌様』の御姿を一目見たいと、単身ご本尊に忍び込んだ。  それだけならまだしも、そこに設置してあったご神体の御鏡を割ってしまったのだ。  神主様や大人達に厳しく責められ、泣くかやのを憐れんで、その場にお姿を現したおいぬ様は、しかし困ったように言った。  「こらお前達、娘一人をそんなに責めるものではない。しかし…困ったことになったな。  この鏡は俺の霊力を閉じ込めたもの。この村が出来た時からの人々の信仰がつまっている。  これがなくては俺は、神通力を失って、やがては存在失せてしまうであろう。  となれば、村を襲うあらゆる災厄から、守ってやることができない」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加