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魔法が欲しい。
いつもふと気を抜くと呟いてしまう言葉のひとつ。叶えたい夢があるわけでもなく、具体的な幻想を抱いているわけでもなく。
特別が欲しい。言い換えると、あるいは正しく言えば、そうなのだろう。胸の内で手を伸ばす先、渇望するなにか。その答えはまだ形にできない、夢であり、希望であり、明日であり……意味とも言える。特別であればきっと、誰かに求められて、何かを一心に追いかけられて、自分が生きててもいいって肯定できる。
理由が欲しい。僕が、私が、俺が……自分が自分でいていい、そんな理由が欲しい。
けど、その魔法が、特別が、理由が、形にできないから、今日も自分は……自分は? 何だ。形にできないから何だ。できるとどうだ。生きてていいのか? なら今は死なないといけないのか? なら、死ねよ。死ねないから生きてて、誰かに殺されたいと願いながら、誰にも関わりたくなくて、ああ、辛くて、苦しくて、惨くて、酷く、醜く、く、く、く、くくくくくくくくくくく……
やめた。手放しかけた微睡みに手を伸ばし、ベッドの上で再び目を瞑る。考えたくない。なにもしたくない。タオルケットを器用にからだに巻き付け、外の光から目を背け眠りを目指す。時刻は知らない。ごめんね。また今日も学校に行かない。
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