4・デュランの秘密

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「もう! 大臣ったら、脅すことないでしょ! じゃあ、早速作戦を練って行きましょ」  セイラは、大きな図面をテーブルの上に広げた。アイゼンブルグ城の簡易見取り図だ。誰かが記憶を頼りに手書きしたようだが、滅多に手に入らない城の見取り図は、手書きでもないよりマシだった。  セイラが、簡単に説明していく。隠し通路まで書き込んであるということは、この手書き図は、セイラが書いたものだろうと推測できる。 「重要書類が隠してあるとすれば、多分この部屋よ。昔、金庫がたくさんあったのを覚えているわ」  セイラは、一番東にある広い部屋を指した。城の出入り口からかなりの距離があるし、ぐるりと迂回しなければいけない道のりだ。この距離を、どうやって相手に見つからずに往復するかが問題である。 「そうねぇ……。こういうのはどうかしら? 先日の非礼を詫びに来ましたって、堂々と入っていくのよ。ノキアとデュランは、護衛ということで……ね?」 「うむ。その方が怪しまれずに済みますね」  デュランが納得した。 「わたしが王子の注意を引き付けて、その間に二人が書類を奪い返す……というのでもいいんだけれど、問題は金庫の開け方を、わたしとアイゼンの一部の者しか知らないということなのよねぇ」  金庫の開け方まで知っているとは、昔どのような遊びをやっていたのだろうかと疑問に思う。 「と、すると?」 「王子の引き付け役は、わたし以外の誰かにやってもらうしかないということで……。ねぇ、ノキア?」 「…………はい?」  向けられた意味ありげな視線に、ノキアは目を瞬いた。 「なんでこうなるんだーーっ!!」  ノキアは、あれよあれよという間にセイラの姿にされていた。あれほど入れ替わりはもうゴメンだと言ったのに、騙された気分である。  作戦はこうだった。またもやセイラに扮したノキアが、王子を引き付けておき、セイラが護衛のデュランと共に金庫のある部屋まで行く。セイラは、途中で変装を解く必要がある。「王子に頼まれたものを取りに来た」と堂々と言えば、警備は薄くなる。万一見つかった時は、隠し通路から脱出するため、ノキアとデュランも、隠し通路のある場所だけは覚えておく。ノキアは、途中で王子の前から退席し、二人と合流する。  この作戦で、三人はアイゼンブルグへ向かった。
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