5・作戦開始

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「そんなことじゃないだろうかとは思っていたけれど、まさか本当にこうなるとはね」  ノキアは剣の柄に手をかけ、セイラを背に庇うように立った。 「読まれていたのか?」 「多分……。それに、王子ならわたしと一緒で、隠し通路も知っている。先回りも可能だわ」  後もどりはできない。しかし、前方には王子と警備兵。逃げ場はない。  王子は肩をすくめ、やれやれといった風に首を横に振った。 「残念だよ。君のことは信じていたのに……」 「なに言ってるのよ! そっちが先に盗んだんでしょう!?」 「セイラ!」 「ふふふ……認めたね? 書類を盗んだということを」 「あっ……」  しまったと、セイラは口を押さえた。黙っていれば、シラを切り通すこともできたかもしれないのに。 「やれ。ただし、王女は傷つけるな」  王子の号令で、警備兵は一斉に剣を構えた。警備兵は4人。他の警備兵は、デュランのところと、他の場所で待機しているのだろう。ここを切り抜けても、難関は多い。  しかし、まずここを切り抜けられなければ、脱出は不可能である。ノキアもまた、剣を構えた。 「仕方がない……。行くぞ! 我が名はノキア・ミタ・カーラウト!」  名乗りながら剣を抜き、地面を蹴って走り出す。 「なにっ、ミタだと!? て、鉄砲だ、鉄砲を用意しろ!」 「はああああああっ!!!」  王子は指示したが、すでに剣を振りかざしている者に間に合うはずもなく、警備兵4人は、あっという間にノキアに叩きのめされる。 「ノキアも、ミタの使い手だったんだ……」  ミタの剣術の使い手は、デュランだけだと思っていたのだろう。セイラは、ノキアの剣術を見て驚いていた。  ノキアは、残り一人となった王子に狙いを定める。 「ま、待て! 反則だろ、おまえがミタの使い手だなんて……! そ、そうだ、待て、こうしよう……!」  言いながら、王子は懐を探った。懐の中で、カチリ、と音がした。それがなんなのか、ノキアにはすぐわかった。 「なーんてな」
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