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少女が人ごみをかきわけて、なんとか一番前へ行くと、探していたスタンがうずくまっており、それを見下ろしている剣を持つ男の姿が見えた。
「ちょっと、スタン!? なにやってるのよ!? 探したんだからね!!」
「へっ!? セ、セイラ様!? す、すると、あっちのセイラ様は……?」
スタンが、セイラとノキアの顔を見比べる。
セイラとノキア、またデュランも、ふたりの瓜二つな風貌に驚きたたずんでいた。
「これは、驚いた……。こうもそっくりな人物がいるとは」
ふたりを見比べると、ノキアの髪が若干青みがかっているのと、目の色が違うだけ。それ以外では、ほぼ見分けはつかない。
*
四人は、人目につかない場所へ移動し、今までの経緯をセイラに話した。
「見間違えた!? ばっかね~、全然服装が違うじゃない!」
セイラは、スタンを罵倒した。
「いや、しかし、こうもそっくりな人間がいるとは思わないだす……」
スタンも、主人であるセイラの前ではたじたじであった。
「それもそうね。ふぅーん……」
セイラは、ノキアをじろじろ見つめて自己紹介した。
「わたし、セイラ。あなたは?」
「私は……ノキアだ。こっちは、一緒に旅をしているデュラン」
「旅人なんだぁ。いいなぁ、わが道を行く! って感じで。あ、こいつはお目付け役のスタン。ヘマばっかりするけど、結構いいヤツよ」
「ひどいだす……今回のことだって、元はと言えば姫様が迷子になったせいで……」
「なんか言った?」
ぶつぶつと言うスタンに対し、セイラが睨んだ。
「いえ、別に……」
「うっふっふっふっふ。わたし、いいこと考えちゃった」
「……なにか、嫌な予感がするだす」
セイラは、きらきらした瞳でくるりと振り向いて、ノキアの手を取る。
「ねえ、ノキア。あなた、1日王女様体験、してみない?」
「はあ!?」
ノキアとデュランが、同時に叫んだ。
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