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* (あぁ、どうして、こんなことに)  そして今、僕は強盗の一味として玄関を開けさせる役目を担わされている。集まったメンバーの中で僕が一番人畜無害な顔をしているかららしい。 ♪ピンポン 「こんにちは。以前お話に来た保険会社の者ですけれど」 「は〜い。門を開けたのでどうぞ〜」  ご婦人の軽快な声が聞こえる。僕のことは微塵も疑ってなさそうだ。豪勢な門の自動ロックが解除され、この家の防御力はゼロになる。いや、後ろの凶器を持った数人に取り囲まれれば、どんな人だって防御力はないに等しい。 『何をしている。早く行け』 「……はい」  震える足を叩いてなんとか前に進める。  僕と、僕の後ろに着いて来ていた人達がゾロゾロと家に入っていく。  僕のせいで、見知らぬご婦人が犠牲になってしまう。 「いらっしゃい――え? その人達は、まさか。きゃっ!」  お寺で嗅いだことのある香りが玄関でして、ニコニコの笑顔でご婦人が僕を迎え入れて――後ろの人達があっという間にご婦人を結束バンドで縛って、ガムテープで口を縛ってしまった。 「あぁ……あぁ……」  僕は余りにも恐ろしくて腰を抜かす。  お金が欲しくてバイトに応募しただけだった筈なのに、どうしてこんな恐ろしい現場に立ち会わなければならないのだろうか。  イヤホンからノイズがして、僕に指示が下る。 『おい、お前。ババアをゴルフクラブで殴って金の在処を聞き出せ』 「そんな……」
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