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「い、痛い……」
彼女からもらったクッキーを食べた僕は、盛大にお腹を壊していた。青白い顔で何度もトイレに篭っている。
(悪魔だ……)
ジョウフというのは悪魔のことを指すに違いない。
何度か男が怒鳴りながらやって来て僕の様子を見たけれど、余りの具合の悪い様子に諦めて帰って行った。僕はなんとか呼吸が落ち着いたら頃に、申し訳程度に用意された寝床に寝転がった。
(お爺ちゃん……あれから大丈夫かな。僕が居なくなって心配してるよね)
(あの時の老夫婦、何事もなかったら良いんだけど)
(僕は一体いつ解放されるのかな)
心配ごとが絶えない。この不幸の連鎖をどこかで止めて欲しいと思うのに、もうどこにも解決の糸口はない。外には出られないし、出ても監視付き、人質は個人情報とお爺ちゃんと詰んでいる。
「おい、動け。次のターゲットはここだ」
僕がやっとトイレから少し離れられるようになった頃。いつもパーカーを着ている男が、僕に灰色のスーツを手渡した。
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