9/10
前へ
/10ページ
次へ
(あぁ、でも。僕の考えはいつも間違っている。だから、こんな感情に支配されたら駄目なんだ)  僕はゴルフクラブで思いっきりガラスを破った。きっとガラスが飛び散って大きな音が鳴るだろうと思ったけれど、ガラスは飛び散らなかった。代わりに、どこかからブザーが鳴る。 「えっ」 「てめぇ! 何やってんだ!!」  後ろから男達が僕を怒鳴る。僕を揉みくちゃにする。僕も、お爺ちゃんも、どうにかなってしまうかもしれない。あぁ、僕はやっぱり考えなしだ。だけど、これで良い、良くやったと思う自分もいる。  脳裏に一筋、言葉がよぎった。 《正しい行いは、いつも神様が見ているものだ》  神様がいるというのなら、もう僕のことは救わなくて良いから、この言葉を聞いてくれ。 「僕は僕の人生に後悔なんてしない! 例えどんな時代に生まれても、僕なりの正しさを捨てないで生きていたいんだ!」  僕は吠えた。  ここがきっと、僕の人生のハイライトだ。 「良く言った」  僕を捕える男達を引きずり剥がす手があった。聞いたことのある声が響く。 「警察だッ!! 全員手を頭の後ろに組んで膝をつけ!!」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加