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『うっ……。結構重い』
全員分のノートを手に、未来は二階の教室から一階にある職員室を目指す。重いノートのせいで普段より歩くスピードが遅い。
(背が高いからって力が強いわけじゃないんだよ!)
俯きながら教師の悪口を心の中で呟いていた未来だったが、ノートを半分以上横から奪われたことで顔を上げた。隣を見ると、背の高い男子生徒が心配そうに未来を見ている。
『大丈夫ですか?重そうですし、僕も一緒に運びます』
『えっ?いや悪いよ。えっと……』
『花野悠二です。クラスは一年二組です』
『あっ、えっと、長月未来。クラスは三組』
隣のクラスの人に手を差し伸べられるその優しさに、未来は一瞬で恋に落ちてしまったのだ。そのため、二年生に進級した際に悠二と同じクラスだと知った時は飛び跳ねてしまったほど嬉しかった。
そして、今に至る。
学級委員の仕事を、未来は正直「面倒だな」と思っていた。しかし悠二と話す機会がいつもより多い学級委員の仕事に、今日は感謝でいっぱいである。
「花野くん!今のうちに黒板掃除しておくね」
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