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二人は疲れ切った顔で上履きから靴へと履き替え、校舎の外に出た。もうすっかり辺りは暗くなり、空には月が輝いている。
「こんなに遅くなるとは思わなかったな」
未来がポツリと呟くと、悠二が「送っていきます」と隣を歩く。悠二の家と未来の家は真反対の方向だ。未来は慌てて首を横に振った。
「悠二くんが帰るの遅くなっちゃうし、大丈夫だよ。そんなに家は学校から離れてないし」
「もう暗いですし、何かあっては大変ですから。送らせてください」
悠二が真剣な顔で言う。未来の胸がまたキュンと音を立てた。未来は真っ赤な顔で俯きながら、「お願いします」と小さく呟く。
それから、他愛もない話をしながら帰った。悠二と並んで帰っていることに、未来の胸が何度も締め付けられる。その苦しさから逃れるためにか、未来は何となく夜空を見上げた。月がいつもより大きく見える。
「今日の月、いつもと何か違うね。すごく綺麗」
「今日はスーパームーンだって昨日天気予報で言っていた気がします」
「スーパームーンかぁ……」
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