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【01 混乱】
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・【01 混乱】
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頭痛が痛い……いや何か、味噌が大豆味みたいなこと思ってしまった……というか今どういう状況?
目の前がチカチカ閃光しちゃってるし、背景はブラックだし、SFのはじまり? 手抜きのSFのはじまり?
いや映画観てるの、私? あっ、一人称私なんだ、でも女性の一人称って少ないし。
女性の一人称を研究している人かもしれない、私って、いやそれは決めつけが過ぎる。
小学生の”お菓子無い事件”くらい、決めつけが過ぎる。絶対兄だと思うような、あの感覚かよ。
兄が食べたとしか思えない、だってアイツ無神経だし、とか思っていたら自分で食べたことを忘れていただけで、兄に平謝りした日みたいな、淡い記憶がエモ過ぎる。
兄への平謝りって子供時代にしかしないからエモいよね、この歳になるともう兄への平謝りってしないし、そもそも兄との関わり合いが薄れてくるし。
というか私の年齢って何歳だっけ? あれ? そんなことも忘れちゃうくらいの耄碌デイズって感じ?
いやいや自分の顔も思い出せないし、そもそも私って女性だっけ、あれそう言えば名前って何だっけ?
そもそも名前って全員に存在するヤツだっけ、一部の村民階級にしかないんじゃなかったっけ、名前って。
いやいやそれなら貴族だろ、村民階級って何だよ、山奥で大麻育てている闇の村かよ。
私の祖父が大麻の陰謀論にハマったユーモア、なんだったんだ。いやユーモアじゃなくてマジだったけども。
何かこういう周辺のことは思い出すのに、自分のことが全然思い出せない、何だろう、ちゃんとした加齢というヤツ?
いやいやいや、いやいやいやが多いな、イーヤサーサー、ちょっとだけ沖縄になっちゃった、こんなに寒いのに。
というか寒いのかよ、こんな混乱しているのに冬かよ、混乱する時は夏の浜辺であれよ、打ち上げられた絶世の美女が、であれよ。
あっ、私って絶世の美女なのかな、絶世の九州男児かもしれない、何だ九州男児って言葉、九州だと広すぎるだろ。
いやオーストラリアから比べると狭いけども、九州は主語がデカいだろ、ネット民かよ、九州は生まれつきネット民かよ。
上司がクサい嘘松でバズってやろうか、というか私に上司なんているのか? あれ、仕事は何していたっけ?
というか学生、学生は我がクセェ、なんて駄洒落、今必要なのかな? そもそも必要な時なんてあるのかな?
小学生は小がクセェっていう駄洒落は、小学生時代に有効打撃だけども、我がクセェは必要な時あるのかな?
我がクセェよりも、蝶に似た、蛾がクセェのほうがウケやすいかもしれない、これが私のブラッシュアップライフ。
蛾の鱗粉ってクサそうだし、だとしたら意外性が無い? もっと突拍子の無いほうがウケる?
じゃあ『雅楽せぇい!』にまで変化してみるか、いやいやクサイって万国共通博覧会ばりの面白ワードだろうから、クサイは残したほうがいいな。
トイレも前の人に匂いが残っていたほうが格段に面白いから、認める、面白いって。不快だけども同時に面白いって、私、認めます。
いやそんな全ての事象に誠実でありたい私という一面、どうでも良くて。
今の状況マジで何? ずっと閃光&暗闇なんだけども。死んだの? えっ? 死んだの? 死後の世界?
死後の世界ならもう少しピンクであれよ、死後の世界って大体ピンクだろ、これ偏見? 偏見だったら悲しいな。
でも死後の世界の授業とか受けたことないから、これが合っているのかどうかマジで分からない。
死後の世界って多分ピンクの行書体だよね、ピンクの行書体で『完』だよね、絶対そうなはず。
私って多分一般的だと思うから。一般的THEガールだと思うから。良い香りもしていると思う……いや! 私の息クサっ!
……と思った刹那、私の視界は一気に晴れていき、目の前には茶色の天井が見えた、そう木の板丸出しの天井。
床はフローリングでこちらも木感が丸出しで、そこに私は倒れていた。
少し手を動かすと何だかフローリングはビショビショに濡れていて、お水かよ、と思った。
どうやら部屋、というか一室といった感じで、室温はめちゃくちゃ寒くて、私がいるのに、と思ってしまった。
というか、うん、私、私って誰だっけ……ヤバイ、これってもしかすると記憶喪失かもしれない。
だってここが誰の部屋か分からないんだもん。私の部屋である可能性もあるし、でももしかしたら誘拐されて放り込まれているだけの可能性もあるし。
そもそも自分の部屋だったらストーブ付けてるでしょ、こんな寒かったら、と思いながら窓の外を見ると、外は大雪、大粒の雪がしんしんと積もっている最中だった。
こんな冬に記憶喪失って、記憶喪失は夏の浜辺であれよ、とさっきも思ったことを思ってしまった。
いやまずその偏見、何? とセルフツッコミ。というかさっきまでの混乱も何とセルフツッコミ。
でも何か自分の素ってこういう感じっぽいみたいだ、ということはあれ、私、高貴じゃないな。
高貴なヤツ、こんな意味分かんないこと考えたりしないだろうから、いや高貴だからこそ暇過ぎてノンストップガール?
誘拐かどうか、まずそれを確かめたい。そう思って玄関だと思われる扉を開けてみると、普通に開いた。
いやまあ扉の前に来た時点で、鍵が内側だったからそうだろうと思ったけども。
外の空気は凍てつくような、刺さるような寒さですぐに閉めた。
まずストーブを付けよう、ストーブは電気ストーブみたいだ。灯油入れなくていいヤツだから楽だと思いながら、スイッチを入れた。
さてさて、ここから私はどうしていけばいいのだろうか?
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