小さな希望の庭

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数か月が経ち、私の育てている植物たちは緑も濃くなり、花もいくつか咲き始めた。 以前は枯れていたあの場所が、今では小さな庭みたいになっている。 その光景を見ていると、心の中にも温かな気持ちが広がる。私が時間と手をかけるたびに応えてくれる植物たちを見ていると、自分の心にも「もっと成長したい」という気持ちが芽生えてくるようだった。 そんなある日、村の小さな図書館で「村のガーデニングコンテスト」が開かれることを知った。 祖父が勧めてくれたこともあり、思い切って参加することにした。 けれど、初めての挑戦に緊張と不安が押し寄せてくる。 村での経験が浅い私は、他の参加者に比べて知識も技術も足りないと感じてしまうのだ。 しかし、祖父は静かに励ましてくれた。 「植物を育てるのは、勝つためじゃなく、心を込めることが大事なんだ」と。 その言葉に背中を押されて、私はコンテストに向けてさらに植物たちの世話を続けた。 特に、祖母が大切に育てていたというバラの木を再生させようと決心する。 祖父によると、祖母が亡くなったあと、ずっと手入れされずにいたバラの木で、今はほとんど枯れてしまっていた。 「このバラを咲かせて、祖母に見せてあげたい」という気持ちが湧き上がり、私は一心にバラを手入れすることにした。
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