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~ 日本、東京/2025 ~
『闇に光溢れ、煌びやかな街並みの中ふわふわと舞い落ちる雪、素敵ですね……と言いたいところなんですが、あああ、またこの国ですか。ここにはいい思い出がありません。禁教だか何だかでの圧迫感、息苦しさを思い出してしまいます、ブルブルブル。……ま、今回は嫌な感じはしませんね。見た限り環境が変わったのでしょう、快適です。さてさてっと、目指すお二方は……む、いましたいました。お仕事帰り、といったところですか』
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「芳人、あれ見て!」
「ん?」
「あのUFOキャッチャーの縫いぐるみ可愛い!」
「……あ~、そうだな。可愛いな~」
「言い方!」
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『仲睦まじい様子、結構な事です。どうやらこの国の穏やかな環境も影響しているようですね、戦乱の空気が感じられません。良い傾向です。さあ、ほんの少しの間ですがお二人の様子を拝見させてもらいましょうか』
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「おっし、取れた」
「やった! さすが芳人、期待に応えてくれますねえ~」
「ほら」
「ありがとう! 可愛い白猫ちゃんようこそ。いっぱい可愛がるから。これからよろしくね……どうしたの? 変な顔して」
「……いや、莉奈猫好きだよなってさ」
「芳人も猫飼いたいって前に言ってなかったっけ?」
「目に入れても痛くないくらいには好きだな」
「世間ではそれを溺愛と呼ぶけどね!」
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『むふふふ、今回は特別にお小遣いを貰ったので、なけなしのお給金と合わせれば甘いものをたくさん頂けますね。主様に、そして天と大地の恵みに感謝を。いただきます! むぐむぐむぐっ、んぐ。ああ、塩バニラのロールケーキとは何と美味なのでしょう……おや? 小動物の縫いぐるみをゲットされましたか、そうですか』
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「さて、可愛い家族も増えたことだし週末だし、今日はごちそうを作っちゃましょう!」
「お、いいね」
「何食べたい?」
「うーん……鍋がいいな。シメにチーズをたっぷりと入れたリゾッ」
「ねえ、オードブルにお風呂場の私、メインディッシュに寝室の私、デザートに芳人への愛を目いっぱい語る私、なんてどう? やだっ……言葉にしたら恥ずかしいよこれっ!」
「……トが食べたいからキムチ鍋一択で」
「聞きなさいよ!」
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『なるほど、帰る場所は御一緒の様子。そして互いに対する慈しみと愛情が言動に満ち溢れています、良い事です。ま、今のうちに存分にお楽しみくださいな、生命には限りがあるのですから。せいぜい私の手を煩わせないで下さいよ?』
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