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天真さんは唐揚げの横に添えられたプチトマトを箸で口に運びながら疑惑の目をこちらに向けた。
僕は証拠を見せるべくスマホで通販サイトを開く。
しかし購入履歴を確認した僕は目を疑った。
「あれ、商品ページなくなってる」
「あやしさ満点じゃん」
「いやそんなはずないんだけど。てかこれじゃ消耗品も買い足せないじゃん」
「消耗品って?」
「羽根だよ。白いやつ」
天使の召喚にはいつも白い羽根を使う。その羽根は彼女が召喚されると同時に消えてしまうのだ。
もう一度スマホを確認したが、別売りの羽根専用ページも無くなっているようだった。
つまり今手元にある羽根が無くなれば召喚ができなくなってしまう。
「あ、もしかしてうちに落ちてた羽根かな」
「え、そうなの? 入れ替わってる感じなのかも」
「じゃあ帰ったら拾っとくよ。お父さんに見つかったら疑われちゃうし」
「なにを?」
「どこの鳥の羽根連れ込んでんだ、って」
「馬の骨みたく言われても」
僕たちは最後にふたつ残ったからあげをひとつずつ口に運んだ。
噛み締めるたびに旨味と肉汁が溢れる。その一滴すら逃さないように僕はごはんをかきこんだ。
「完売御礼です」
「ごちそうさまでした」
空になった大皿を持ち上げて「おそまつさまでした」と笑う天真さんに僕は手を合わせた。
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