特別な人

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 奇妙なことをするのは決まって週末。その日は休みのはずの父は家に帰ってくることもなく、二日も家にいないことが普通だった。  わたしが物心つく年頃に珍しく父に連れられ家から離れた隣町の隣町にあるファストフード店に連れられた日のこと。 『(めぐみ)の思っていることが正しいんだ。お祖母ちゃんはインチキをしているだけで特別なんかじゃない』  フライドポテトを食べながら、父はどうして祖母の行動を止めないのだろうと思った。 『あの世からのお告げにすがりたい人がいるからだよ。そうして前を向ける人がいるから』 『よくわかんないや』  家に来る人は亡き人のことを祖母に話して聞かせる。居間には入らない母がそれを聞いてパソコンで調べて耳に付けたイヤホンで囁いているのを何度も目撃した。 『お祖母ちゃんは先生でも天使様でもないんだよ』  そう言ってくれた父は悲しそうに笑い片手を伸ばして茶色い髪を優しく撫でてくれる。お話をかげで聞いている母はとても怖くなる。  父だけはまともな人なんだとホッとした時だった。 『元気でな。恵』  立ち去る父にかわって座ったのは父の面影をわずかに感じさせる男の人と優しい女の人。 『堅太郎(けんたろう)翔子(しょうこ)さん、娘をよろしくお願いします』  すれ違いざまにそう言い残していった父。父と弟だと言った堅太郎おじさんは、ツラかったねと何度もわたしに謝って。翔子おばさんはもう大丈夫だと泣き笑いしていた。
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