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10月31日
10月31日、拝啓、僕の天使。どうやら僕、もうすぐ死んでしまうみたい。トラックが急に突っ込んできてさ、避けるひまもなったよ。
死ぬの自体はそんなに怖くないんだけど、やっぱり君の近くで最期を迎えられなかったのは残念だな。でも安心して。きっと生きてたときより近くで、幸せに過ごせる。なんの邪魔も入らないんだ。
ああ、安心したら、意識が朦朧としてきたよ。光がチラチラしてるね。うっすらと見える人型のモノは、天使かな。羽が生えてる。
あれ、うそ、君じゃないか。ああ、君に迎えられるなんて、本当の天使に導かれるなんて、僕はなんて幸せなんだ。……なんだか怖い顔をしているね。どうしたの? 何か嫌な顔なことがあったの? 僕で良かったらいくらでも話を聞くからね。
とりあえず今は、僕を連れ去ってくれ。
「ぼ、くの、てん、し……」
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