Ⅰ-1 不幸の始まり

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 ザクロさんには連れ子がいた。ホクト君。ザクロさんとは似ても似つかぬ美青年。ちょっとおつむは弱いけど、単純で気のいい奴。  ザクロさんは、このホクトくんが可愛くて仕方がないみたい。だけど僕のことはどうにも嫌いらしい。ザクロさんが父さんに僕の悪口を吹きこんだりするものだから、東の海へ行く時も、父さんは僕を誤解したまま。そのままもう、二度と会えなくなった。  僕の父さんが東の海で死んでしまうと、ザクロさんは、我がもの顔で父さんの残した屋敷を取り仕切るようになった。  僕は屋根裏部屋に追いやられ、灰にまみれてこき使われている。  たくさんあったはずの財産も、ザクロさんの毎日の浪費で、最近はかなり目減りしているみたい。召使い達は大半がお暇を出され、代わりに働く僕は、ほとんど寝る暇もない。
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