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ある日突然、僕はザクロさんから破茶滅茶なお使いを言い渡された。
「さあさあ、今すぐシブヤの聖地イチマルキウに行くんだよ!本物のスケスケショウブシタギをとってきておくれ!」
なにを言っているのか分からなかった。
ザクロさんの命令は基本一回しか口にされない。質問をするだけで怒るんだ。そのぐらい察しろうすのろバカ!って言われる。かと言って実行せずに放置してると、後でその百倍怒られる。
僕は、おそるおそる、そのスケスケなんたらとは何かを尋ねた。
「あなたって本当に野暮! レディにそんなこと説明させないでちょうだい」
なるほどそれは、れでぃ……には口にできないようなものなのか。僕はごくりと唾を飲む。またザクロさんのむちゃぶりが始まった。
「何をしてるの。グズなんだから! さあ早く、行った行った! それが出来るまで食事は抜きだよ」
僕はとりあえず、出かけるフリをした。
ザクロさんのむちゃぶりは、今に始まったことでもない。諦めずによーく考えてると意味がわかる時もある。それにかけよう。だめなら鞭の折檻が待ってる。考えろ、考えろ。
外は一面の雪。川まで降りて行き、ツルハシで氷を割って、水を汲む。
スケスケ……何て言ったかな。スケスケ……。呪文みたいな名前だったな。植物だろうか。薬草だろうか。そんなもの、突然とりに行けと言われたって分からない。
馬小屋と鶏小屋を掃除しながら考える。調理場の手伝いでジャガイモの皮を剥いている時、ようやく名前が思い出せた。
スケスケショウブシタギ、だ。
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