2022年版〜谷原真嗣〜

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2022年版〜谷原真嗣〜

「ただいまぁ〜」 「パパぁ〜!おかえりなさーい!!」  …京都郊外のマンション。  仕事を終えて帰宅した真嗣はかがみ込み、やって来た愛娘可奈子を勢いよく抱きしめる。 「可奈子ただいまー!良い子にしてたかい?」 「うん!ママのお手伝いしてた!エライ?」 「うん!エライエライ!じゃあ、良い子にはこれ、ハイ!」  そうして、真嗣は後ろに隠していた赤いリボンのついたクリスマスプレゼントを可奈子に渡す。 「わあ!ありがとう!開けていい?!」 「うん!勿論!」 「バカねぇ、そーゆーのは玄関じゃなくてリビングでなさいよ。全く…」  呆れ顔でやってきたのは、再婚して初めてのクリスマスを過ごす、妻の嘉代子。  忽ち真嗣の顔も柔かになる。 「そうだね嘉代子さん。じゃあ可奈子!リビング行こう?」 「うん!」 「ハイ。カバンとコートとマフラー、預かるわ。」 「うん。ありがとう。嘉代子さん。」  そうして嘉代子に上着などを渡すついでに、真嗣はカバンからラッピングされた長方形の箱を出し、彼女に渡す。 「なに?」 「やだなぁ、プレゼント!ブレスレットなんだけど、似合うと良いな。」 「バカねぇ、無駄遣いして…欲しいものくらい自分で買うわよ。」 「あはは。まあ良いじゃん?クリスマスなんだし。浮かれさせてよ。」 「全く…ま、なにか貰うのは嬉しいし、有り難く受け取ってあげる。」 「ハイハイ。どうぞどうぞ。」 「全く…」 「ママ!見て見て!!」  リビングに行くなり、可奈子が満面の笑みで、真嗣がプレゼントした有名ブランドのドレスを見せる。 「あら、良かったじゃない可奈子。それ、欲しかった奴じゃない?」 「そう。こないだの発表会の時言ってたじゃん?新しいドレス欲しいって。だから、奮発しちゃった!」 「素敵!ねぇ、今着て良い?!ママ!」 「ダメよ。お料理食べるんだから。汚れたら大変でしょ?しまっておきなさい。」 「えー!!」 「良いじゃん嘉代子さん。僕みたいなぁ〜。可奈子のドレス姿。ねぇ、可奈子?」 「うんパパ!ねぇ、ダメママぁ〜?」  そうして2人で自分を見てくるので、嘉代子は盛大にため息をつく。 「もぅ、こう言う時だけ結束して私を悪者にするんだから…。分かったわよ。可奈子、着替えてらっしゃい。」 「わーい!!」  大喜びで自室に消えていく愛娘を見ながら、真嗣はそっぽを向いてる嘉代子の顔を覗き込む。 「怒った?可奈子の味方して。」 「別に。貴方が娘に甘いのは、いつもの事だし…」  一向にこっちを向いてくれない妻に、真嗣は小さく笑って、チュッと嘉代子の頬にキスをする。 「な、なにをっ…」  狼狽する嘉代子を、真嗣は抱きしめる。 「やきもち焼きの嘉代子さん、可愛い。」 「ば、バカ言わないで!離してよ!」 「いーや。機嫌直るまで、離さない。」 「真嗣!」  そうして2人でイチャイチャしていたら、ドレスを着た可奈子がやってきて、自分たちを見つめる。 「あ。可奈子…」  自分を呼ぶ父に、可奈子はにっこり笑って見せる。 「パパ、私、もう一つ欲しいものあるの。」 「うん?何?なんでも言ってごらん?」  事もなげに言うと、可奈子が無邪気にとんでもないことを口にする。 「弟妹!可奈子、お姉ちゃんになりたい!!」 「へ?」 「なぁ?!」  忽ち真っ赤になり狼狽える両親に、可奈子は眉を下げる。 「パパ…ダメなの?」 「だ、ダメって言うか…ねぇ、嘉代子さん?」 「わ、私に聞かないでよ!可奈子!ドレス素敵よ!似合ってる!さ、みんなでご飯にしましょ!ママ、これしまって来る!」  真っ赤な顔で、寝室にコートと鞄を置きにいく嘉代子を見送る真嗣と可奈子。 「パパ…ホントにダメなの?」 「う、うーん…とりあえず、ママと神様にお願いしてみるよ。可奈子をお姉ちゃんにして下さいってね。」 「ホント!?」 「うん!!さ、テーブル行こう?ママの手料理、楽しみだなぁ〜」  そうして娘の肩を抱きながら、今夜は早めに娘を寝かしつけ、夫婦で幸せ家族計画を話し合ってみようかと考える、真嗣なのでした。
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