天使の瞳

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 カールは起き上がり、テーブルの上の煙草を手に取って、するりと抜き取り吸い始める。カール、煙草吸うのか。 「いる?」 「いらない」 「帰るならいつでも帰って。もう酔ってないから送らなくていいよね」  昨日は親切に介抱してくれたのに、今朝は格段に冷たい。調子が狂う。もっと優しい人だと思ってた。 「まだ頭痛いから」 「うちにいてもいいよ。どっちでもいい」 「じゃあ、セックスしようか」 「したいなら、してもいい」  カールが煙草をもみ消し、ベッドに入ってくる。頭が割れそうに痛い私を、遠慮なく抱き寄せる。混乱する。どうして平気でこんなことするの? 「ちょ、ちょっと待って、カール、私のこと好きなの?」  私の胸を触りながら、カールは青い目で私を見つめた。その目に、表情はなかった。 「セックスしようって言ったのは育ちゃん」 「でもなんのやり取りもなく始めるなんて」 「じゃあ、やめようか」  ぱっと私の身体から手を離す。途端に身体は寒くなる。カールの体温が恋しくなり始めた。  きれいな青い瞳。真っ白な肌。滑らかな金髪。絵画から逃げ出して、この世に忍び込んできたような、その姿。 「セックスしたいならするよ。したくないならしない」  自分から「しようか」と言っておいてしないのも、なんだか決まりが悪かった。  それに、こんなに美しい顔のカールが目の前に裸でいて、それをスルーしてしまうのはもったいなく感じ始めた。 「わかった、じゃあ、しよう」
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