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「ってかさ。頭と羽はガチなのに、何で服装がガテン系なの? ってか、それ以外ただのおっさんじゃん」
「あ。そこ、やっぱツッコんじゃうんだ」
「しれっと通り過ぎれるとでも思った?」
「ですよねー」
蜘蛛の子の皆さーん。動画撮るのは今。今ですよー。
けれど道行く誰も気づかない。なんなら私、一人でしゃべってると思われてる?
「何か、めちゃめちゃ怪しいんですけど」
「人を見た目で判断しちゃダメだって親とか先生とかに習わなかったのか?」
「ってかおっさんこそ見習いでしょ?」
「違うぞ。国家資格も取ってるし。ベテランは言い過ぎだとしても中堅位ではあったんだ。死んじゃう前は」
天使って神様がつくるとか、神様から産まれるとかじゃないの?
「いや。いわゆる転生ものなんじゃねって踏んでる。『おっさん天使に転生す』みたいな」
ガテン系おっさんが作業着から雑に羽を出し、煌めく輪に照らされた脂ぎった頭を光らせながら暫し考える。
『うだつの上がらない独り者の男が二日酔いのまま現場で足を滑らせ落下~と思いきや、もとい。転落せず天使に転生。こうなったら頑張って女子高生、護っちゃうぞ~』
誰も題名考えろなんて言ってないわ。
ってか、そうなの? ホントならマジちょっとかわいそうじゃん。
「でもやっぱ、天使としては見習いなんでしょ?」
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