4人が本棚に入れています
本棚に追加
先生はあの日、涙を流す私を車の中でずっと待っていてくれた。
『ほら、そんな顔してたらお母さんが心配するぞ』
そう言って笑って、わしの頭を撫でて。
泣きたいのは先生の方だった筈なのに。
私はどこまでもコドモだなあって、情けなくてしょうがない。
こう見えても、私は結構泣くのを我慢出来るコドモだったと思う。聞き分けが良くて要領が良くて、いつも"いい子"でいたと思う。
だから。
先生の前で、あんなに涙が出た自分に、今でもビックリしてるんだ。
お母さんの前でだって、お父さんがいなくなった時以来涙を流していないと思う。ていうか、お母さんには出来るだけ心配かけたくなかったし。
そう思うと、翔くん先生はすごい。
ほんの1ヶ月くらい一緒に過ごしただけなのに、いつからか、どうやってか、すんなりと私の中に入り込んできて、あっという間に私の感情を乱すんだ。
本当、どうやってこんな風にわたしを乱すんだろう。参ってしまうよ。先生はどこまでもずるい人だ。
最初のコメントを投稿しよう!