Ⅵ-4 小姓の仕事※

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 ようやく、ジュンが言っている意味がわかった。  僕は今朝、確かに「可愛がる」の意味を教えてくれって言った。でも、どうやら「可愛がる」ってことは、何やらえっちなことらしい。ここまでくれば、僕もさすがに察しがついた。 「ちょっと待ってジュン! 僕……よく分かってなかったんだ!」 「大丈夫、優しくしますから」  するりとシャツが脱がされた。ジュンは僕の胸にちゅっと吸い付いてきた。 「ひゃあっ!!」  僕は悲鳴をあげてしまった。同時に、もはや得意技となった蹴りを放つ。  ジュンがうっとうずくまった隙に、僕は廊下に続くドアへとダッシュした。  「オト!」 「ジュンのバカ! 僕は猫じゃ……ぶっ」  廊下に出た途端、僕は何かボワボワしたものに激突して前に進めなくなった。 「あらあら、何ですか? 喧嘩でもなさったの?」  さっきの歳をとったメイドさんだった。畳んだリネンを運ぶところにぶつかってしまったのだった。 「ごめんなさい!」  僕は慌ててリネンを拾って畳み直すのを手伝った。
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