12人が本棚に入れています
本棚に追加
小姓たちの控える席は遥か遠く。家臣たちの長いテーブルの末席だ。小姓たちも今日は小綺麗な衣装を着て、給仕の手伝いをしている。給仕が一段落するとテーブルに付き、大人たちに混じって賑やかな晩餐を共にしている。ここからではその顔立ちまでは見えないが、アリオトのような背格好の少年は何人もいる。
「昨夜のあれは……のダンス」
小姓たちの席のあたりをぼんやり見ていた小生は、皇女の言葉をすこし聞き逃してしまった。
「失礼、なんとおっしゃいました?」
「あら、発音が違ったかしら」
船乗りのダンス、と皇女は綺麗な発音で言った。
「あのお嬢さん、いや、あの小さな船乗りさんは、どこで見つけてらっしゃったの?」
「と、申しますと?」
「青いドレスのお相手よ……」
皇女はそっと身体を傾けて、小生の耳元に囁いた。
「あんなに綺麗な男の子、見たことないわ」
最初のコメントを投稿しよう!